民間の銀行よりも低金利で長期間の借り入れができることから、日本政策金融公庫からの融資を検討している人は多いでしょう。
民間よりも柔軟な条件が特徴の日本政策金融公庫ですが、融資前には審査があり、しっかりと準備をしないと落ちることは珍しくありません。
そこで、本記事では日本政策金融公庫の審査基準や落ちる理由、申し込みの流れを解説します。
審査に通るためのポイントや、もし落ちてしまったときに取るべきアクションも紹介するので、これから開業を予定している人はぜひご覧ください。
Contents
日本政策金融公庫の審査でチェックされるポイント
日本政策金融公庫の審査では、主に以下のポイントがチェックされています。
- 自己資金は足りているか(新創業融資制度の場合)
- 事業計画の数字の見通しに説得力があるか
- 信用情報に問題がなく返済能力があるか
- 同業種での事業経験があるか
- 面談での受け答えは問題ないか
上記のポイントは、民間の融資を受ける際にも少なからずチェックされているポイントです。
自己資金は足りているか(新創業融資制度)
新創業融資制度の利用を予定している人は、自己資金の条件をクリアしなければなりません。
具体的には、創業資金のうち自己資金の割合が1/10以上である必要があります。
創業資金とは事業に使うお金であり、自分の生活費など事業に関係のないお金は含まれません。
ただし以下のケースに当てはまる場合は、自己資金の要件を満たした扱いになります。
- 今まで就業経験のある企業と同じ事業を始める
- 創業セミナー(産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業)を受講したうえで事業を始める
経験のある業種での起業や、創業セミナーを受けているなら、ある程度事業が成功する可能性があると判断されるのでしょう。
事業計画の数字の見通しに説得力があるか
事業計画書の内容は、審査でも特に重要視されるポイントの一つです。
特に初めて起業する人に対しては、担当者は事業計画の内容を見て判断するしかありません。
事業計画書には、主に以下の内容を記載します。
- 創業の動機
- 創業者の略歴
- 商品・サービス
- 取引先
- 借入状況
- 必要資金と調達先
- 見込み売上や経費の根拠
- 販売活動の具体的な内容
- 売上が想定を下回ったときの資金繰り
特に数字に関する情報は、現実的かどうかが重要です。
目標売上に対して取り組み内容が弱かったり、資金繰りが楽観的過ぎたりしないかがチェックされます。
未来のことは誰にも分からないからこそ、具体的な根拠を積み上げ、確からしさを証明するのが重要です。
信用情報に問題がなく返済能力があるか
事業計画と併せて、経営者の信用情報は返済能力を推し量る一つの指標になります。
具体的には、以下の情報がチェックされます。
- クレジットカードやローンの借り入れ・返済状況
- 携帯料金支払いの延滞の有無
- 債務整理・自己破産の経歴の有無
チェックされる信用情報は、信用取引に関する情報です。
信用取引とは、クレジットカードやローンなどの後払い取引だと思っておきましょう。
1回や2回の遅れだけで審査に響くことはほぼありませんが、頻繁に滞納していたり自己破産歴があったりすると、不利になる可能性が高いです。
日本政策金融公庫は、以下3つの信用情報機関に加盟しています。
原則として、クレジットカードや携帯料金はCIC、銀行との取引はKSC、カードローン関係の情報はJICCに記録されています。
自分の信用情報が不安な人は照会ができるため、心当たりのある人は問い合わせましょう。
同業種での事業経験があるか
新創業融資制度の要件からも分かる通り、同業種での事業経験があるかどうかもチェックされます。
一概には言えないものの、やはり事業経験のある人の方が成功確率が高いと考えるのが合理的なためです。
「事業経験がある」とは、自分が行おうとしている事業を行っている会社に在籍していたかどうかを指します。
「事業経験がある」と言える明確な基準はありませんが、3年以上からが目安です。
3年働けば、業界の構造や慣習、会社の回り方が分かってくるはずです。
ただし未経験の場合でも、フランチャイズでの起業や相談役がいるなど、適切なバックアップ体制があれば融資対象になり得ます。
面談での受け答えは問題ないか
面談での受け答えも重要です。
事業計画や信用情報などの定量的な情報も重要ですが、面談では経営者本人の熱量や人柄などの定性的な情報も見られます。
特にスタートアップの段階では、創業者の熱意がなければ困難を乗り越えられないためです。
どれだけ事業計画を作り込んだとしても、それを自分の言葉で上手く説明できなければ、担当者に響かず融資が叶わない可能性があります。
融資は信用に基づいて行われるため、書類でも口頭のやり取りでも内容が一貫している必要があります。
面談ではよく聞かれる質問があるので、事前に対策しておきましょう。
具体的な対策方法は後述します。
落ちる理由がある?日本政策金融公庫の審査4つのポイントとは
日本政策金融公庫の審査に落ちるよくある原因は、以下の通りです。
- 融資希望額に対して自己資金が少ない
- 事業計画の作り込みが甘い
- 信用情報に問題がある
- 起業する業種での事業経験が少ない
原則としては、審査で重視されるポイントのいずれかに引っかかるケースが考えられます。
審査でマイナス評価をされてしまうポイントを詳しく見ていきましょう。
融資希望額に対して自己資金が少ない
自己資金の割りに融資希望額が大きすぎると、返済能力を疑われて審査に落ちる原因となります。
例えば新創業融資制度では、自己資金の割合が1/10以上と定められていますが、これは最低限の水準と考えるべきです。
つまり1/10の自己資金を用意したからといって、必ず審査に通るわけではありません。
自己資金は多ければ多いほど良く、目標としては2~3割、可能であれば半分は用意しておきたいところです。
自己資金が大きいほど、事業が計画通りに進まなかった場合に持ちこたえられるため、倒産や貸し倒れのリスクが低いとみなされます。
なお審査に通るために一時的に用意したお金(見せ金)はバレます。
審査の際は通帳の提出も求められ、出所が不明の履歴や現金は追及されるためです。
事業計画の作り込みが甘い
事業計画の作り込みが甘かったり、内容に矛盾があったりすると、審査に落ちやすくなります。
事業計画の甘いポイントとしてよくあるのが、以下のケースです。
- 売上予測の根拠がない
- 内容が抽象的
- 資金の用途があいまい
- 仕入れや人件費が実態と異なる
- 数字が合わない
担当者はその事業が実現可能かどうか、成長性・収益性があるかどうかを重視します。
事業計画書に書かれた数字については、すべて根拠を説明できる状態が望ましいです。
信用情報に問題がある
事業計画に問題がなくても、経営者の信用情報に問題がある場合は、審査に落ちる可能性があります。
審査に響く信用情報の傷としては、以下が挙げられます。
- 過去2年以内に複数の滞納歴がある
- 過去5年以内に債務整理をした
- 過去10年以内に自己破産をした
- カードローンやキャッシングの債務が残っている
- 公共料金の支払いを何回も遅延している
公共料金については、審査時に提出する通帳を見れば判別が可能です。
もし未払い分があるなら、少なくとも半年分は完済しておきましょう。
ただし「うっかり忘れ」の範疇に収まる1回や2回の遅延や、有担保の住宅ローンの残債は、審査にはあまり影響しません。
起業する業種での事業経験が少ない
未経験の業種で起業する場合は、審査のハードルが高くなります。
起業実績のない中での審査では事業計画書が重視されますが、未経験の業種では机上の空論とみなされかねません。
そのため審査前には、事業に関係のある経験を洗い出し、アピールの準備をする必要があります。
仮に業界の経験はなくとも、職種が過去の経験と同じ場合や、転用できるスキルはあるはずです。
単に「○年経験があります」というのではなく、具体的な取り組みや経験をしてきたのかを具体的に述べられるのが望ましいです。
創業時に受けられる日本政策金融公庫の2つの融資制度
日本政策金融公庫は新規開業する人に向けたものから、従業員の賃上げを目的にしたものまで、様々な融資制度を用意しています。
その中でも、これから起業を考えている人が利用できる代表的な制度は、新創業融資制度と新規開業資金の2つです。
新創業融資制度とは、各融資制度を利用する際に、一定の条件を満たした人が利用できる特別枠のようなものです。
つまり新創業融資制度だけでは利用できず、例えば新規開業資金と併用する形で利用します。
それぞれの融資条件を以下の表にまとめたので、ご覧ください。
項目 | 新創業融資制度 | 新規開業資金 |
---|---|---|
対象者 | ①これから事業を始める、 または事業開始後、2期分の税務申告を行っていない人 ②これから事業を始める、 または事業開始後まだ税務申告を行っていない人は、 創業時の創業資金のうち自己資金が10%以上であることを証明できること※ |
新たに事業を始める人、または事業開始後約7年以内の人 |
資金の用途 | 開業または設備・運転資金 | 開業または設備・運転資金 |
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 各融資制度に準ずる | 設備資金:20年以内 運転資金:10年以内 |
利率 | 1.0~3.6% | 0.45~3.3% |
保証人 | 原則不要 | 要相談 |
※事業に使用予定ではない資金は、本要件における自己資金には含れません。
参照:日本政策金融公庫|新創業融資制度
参照:日本政策金融公庫|新規開業資金
特に金利については、銀行で借りるよりもはるかに低い利率で借りられるのが特徴です。
資金調達を考えているなら、ぜひ選択肢に入れたい調達先と言えます。
物件は先に決めるべし!日本政策金融公庫に申し込む流れ
物件の契約は融資の前と後どっちにするべきか迷っている方も多いかもしれませんが、結論からいくと物件は融資前に決めておくべきです。
ここからは、以下のステップに分けて日本政策金融公庫に申し込んでから融資を受けるまでの流れを解説します。
- 物件の決定や各種許認可を取得する
- 必要書類を準備する
- 日本政策金融公庫に申し込む
- 面談をする
- 審査結果の連絡が郵送で来る
あらかじめ流れを把握し、イメージを湧かせておけばスムーズに準備を進められます。
物件の決定や各種許認可を取得する
店舗や事務所に使う物件の決定や、営業に必要な各種許認可は、申込前に済ませておきましょう。
物件が決まらないことには、創業に必要な資金がはっきりしないためです。
先述の通り、事業計画書であいまいな記載があると、審査で不利に働きます。
さらに根本的なところでは、事業計画そのものも立てられません。
とはいえ、融資が決まらない段階で物件の契約までするのはリスクが大きいため、仮契約で一時的に押さえておくのがベストです。
仮契約には手付金が必要だったり、人気の物件では仮押さえも難しいケースもあったりします。
そのため不動産会社には、融資が決定し次第本契約する旨を伝えて理解を仰ぎましょう。
同様に、営業に必要な許認可がない状態では事業を開始できるかはっきりしないため、あらかじめ取得しておく必要があります。
必要書類を準備する
営業する準備が整ったら、申し込みに必要な書類を準備します。
日本政策金融公庫の申し込みに必要な書類は、以下の通りです。
- 創業計画書
- 設備の見積書(設備資金申込の場合)
- 履歴事項全部証明書または登記謄本(法人の場合)
- 不動産の登記簿謄本または登記項証明書(有担保融資の場合)
- 都道府県知事の「推薦書」または「振興事業に係る資金証明書」(生活衛星関係の事業の場合)
- 運転免許証(両面)またはパスポート(顔写真ページおよび現住所の記載があるページ)のコピー
- 許認可証のコピー(許認可が必要な事業の場合)
創業計画書については、国民生活事業のページからダウンロードできます。
なお上記はインターネットで申し込む際の必要書類です。
郵送での申し込みでは、上記に加え「借入申込書(国民生活事業用)」が必要です。
日本政策金融公庫に申し込む
書類が準備できたら、いよいよ申し込みましょう。
申し込みは24時間いつでも申し込めるインターネットが便利です。
インターネットで申し込む手順は、以下の通りです。
- 申込ページにてメールアドレスを登録する
- メールに届いたURLにアクセスし、申込情報を入力する
- 必要書類を添付する
- 内容を確認し、申し込みを完了させる
詳しい手順はインターネット申込ガイドに掲載されているため、確認しながら操作を進めましょう。
なお借り入れや返済について不安や疑問があれば、申込前に事前相談が可能です。
近くの支店だけでなく、Teamsを使ったオンライン相談も受け付けているので、不安な点があれば遠慮なく相談しましょう。
面談をする
申し込みをすると、後日担当者から面談の案内の連絡が来ます。
面談では事業計画を中心にヒアリングを行います。
資産や負債の分かる書類の提出も求められるので、案内時に当日の準備物を聞いておきましょう。
店舗や工場に、担当者が訪れるケースもあります。
提出書類や面談で会話した内容を総合的に検討し、融資の判断が下されます。
審査結果の連絡が郵送で来る
審査結果が出るまでの期間は、面接からおよそ2週間(土日・祝含む)です。
審査結果は借用証明書をはじめとした契約に必要な書類一式とともに、郵送で送られます。
契約手続きが終わると、借入金が銀行口座へ振り込まれ、融資が始まります。
同時に返済も開始しますが、据置期間がある融資の場合は据置期間が終わってからのスタートです。
通過率を上げるために!押さえておきたい日本政策金融公庫の審査のコツとは
日本政策金融公庫の審査で重視されるポイントや落ちる原因から、審査に通過するコツを整理します。
審査の対策をするときは、以下の点を意識して準備を進めましょう。
- 事業計画書は現実的な内容にする
- 融資資金の使い道を明確にする
- 必要に応じて同業種の事業経験がある従業員を雇う
- 面接対策をする
- 認定支援機関を利用する
少しでも審査に通過する確率を上げるために、以下の内容はぜひ押さえておいてください。
事業計画書は現実的な内容にする
事業計画書の原則は、数字が現実的であり、納得感があることです。
仕入れや従業員の給与、家賃など確定しているものは1円単位で正確に記載するのはもちろん、売上予測など不確定要素についても根拠を用意する必要があります。
具体的には、市場や競合調査を行い、競合が達成しているであろう金額を基準に語るのがベターです。
加えて、競合との差別化や自社の強みを明確にし「だからうちは○○円儲かる」と言える根拠も用意しましょう。
すでに事業をスタートさせている人は、過去の売上実績や資金繰りをもとに、楽観的すぎない内容にするのが重要です。
売上目標を達成するために行う具体的なアクションや、目標が未達だったときのリカバリー案まで用意しておくと、より説得力が出ます。
融資資金の使い道を明確にする
借りたお金を何に使うのかを明確にするのも重要です。
よくあるのは「何かあったときのために数百万円余裕を持たせておきたい」と、実際に必要な金額よりも多めに希望するケースです。
しかし、用途が不明な資金は融資が却下されたり、減額されたりする可能性があります。
融資資金の使い道を証明するには、以下の材料を用意しましょう。
- 資金繰り表
- 設備投資なら見積書
- 工事をするなら、工事の契約書
ここでも、数字の納得感が重要です。
同業種の事業経験がある従業員を雇う手もある
もし自分にこれから行おうとする事業の経験がなければ、その道に精通した従業員を雇う方法もあります。
事業経験がないことは審査で落ちる原因の一つですが、その事業に詳しい人を雇うことでカバーが可能です。
事業経験のある従業員を雇うメリットは、自分で経験を積むよりスピード感を持って事業を展開できる点です。
担当者にとっても、すでに詳しい従業員がいることは安心材料となります。
他にも、フランチャイズに加盟してノウハウを学べる環境を用意するのも方法の一つです。
面接対策をする
面接で受け答えするときの原則は、強気すぎず弱気すぎずです。
強気すぎると自信過剰な危うい印象を与える恐れがあり、逆に弱気すぎても隠しごとがあるのかと不信感を与える原因になります。
加えて、面接では以下の質問をされることが多いため、事前に回答を用意しておきましょう。
- 創業の動機
- 商品やサービスの内容・ターゲット
- 売上の展望
- 取引先や取引条件
- 事業経験をどう生かすか、ないならどうカバーするか
- なぜその場所に店舗を構えるのか
- 競合や市場の状況・差別化ポイント
- 事業が上手くいかなかったときのリカバリー案
原則として、事業計画書に書かれた内容を質問されます。
担当者にイメージを持ってもらうために、実際の商品やメニューを持参するのも効果的です。
認定支援機関を利用する
初めて融資を受ける人は、認定支援機関を利用するのもおすすめです。
認定支援機関とは、国から「一定の実務経験がある」と認められた、経営者をサポートする専門知識を有した機関です。
代表的なところでは、税理士や公認会計士、商工会議所が挙げられます。
それぞれ得意としている分野が異なるため、創業支援が得意な機関を探しましょう。
創業支援が得意な機関は、担当者に好印象を与えられる事業計画書の書き方を熟知しているため、審査の通過率を上げられます。
補助金や助成金の申請もサポートしてくれる機関もあるので、認定支援機関はこれから創業する人の強い味方になってくれます。
日本政策金融公庫の審査に落ちたときにやるべきこと
日本政策金融公庫の審査に落ちてしまった場合に、取るべきアクションを解説します。
もし審査に通らなかったときは、以下の内容を実践してみてください。
- 審査に落ちた原因を分析する
- 半年後に再度申し込んでみる
- 自治体の制度融資に申し込む
- 民間金融機関の保証付き融資に申し込む
審査に再チャレンジする際の重要なポイントもあるので、万が一の備えとして押さえておきましょう。
審査に落ちた原因を分析する
まずは何が原因で審査に落ちたのかを分析しましょう。
もう一度審査を受けるにせよ、他の融資先に申し込むにせよ、原因が分からなければ同じ轍を踏む可能性があります。
日本政策金融公庫は、審査に通らなかった原因を教えてくれません。
そのため自分で仮説を立てて対策を打つ必要があります。
「日本政策金融公庫の審査に落ちる理由」をもとに、思い当たる部分がないかを考えてみましょう。
面談時に上手く話せなかった部分や、担当者の反応が悪かった部分もヒントになります。
自分では分からないときは、税理士や会計士などの専門機関に相談するのもおすすめです。
半年後に再度申し込んでみる
もし日本政策金融公庫の融資に再チャレンジしたいときは、半年後を目安に申し込みましょう。
前提として、日本政策金融公庫は再申込を禁止しておらず、半年後という期間も明確に定められているわけではありません。
しかし数日後に再度申し込んだとしても、数日では状況を劇的に変えられないうえ、一度下した決裁をすぐに覆すのは先方としても難しいものがあります。
よって、半年後とは状況が変わったと言える一般的な期間だと思っておきましょう。
一度審査に落ちたのであれば、専門家に頼るのがおすすめです。
自分だけでは原因の分析が難しく、適切な対策を打たなければまた審査に落ちてしまうためです。
事業はタイミングも重要なため、時間をお金で買うという意味でも専門家に頼るのは合理的と言えます。
自治体の制度融資に申し込む
日本政策金融公庫だけでなく、制度融資に申し込む方法もあります。
制度融資とは自治体と民間の金融機関、保証協会の三者が連携して行う、中小企業向けの融資制度です。
例えば東京都で行っている創業融資は、以下の通り日本政策金融公庫とほぼ同程度の条件です。
項目 | 詳細 |
---|---|
対象者 | 以下①~③いずれかに当てはまる人 ①東京都内で創業予定の人 ②創業日から5年未満の中小企業 ③都内で分社化予定の会社または分社化された日から5年未満の企業 |
融資限度額 | 3,500万円 |
返済期間 ※()内は据置期間 |
運転資金:7年以内(1年以内) 設備資金:10年以内(1年以内) |
利率 | 固定1.7~2.2%以内または変動 |
保証人 | 必要な場合あり |
担保 | 原則不要 |
制度融資では、自治体と保証協会の補助が入るため、低金利で長期間借りられます。
保証協会は返済が不可能となった場合の弁済を行い、自治体は保証協会への保証料の補助や金融機関への貸付資金の一部を預託してくれます。
日本政策金融公庫と併せて、制度融資も選択肢に入れるのがおすすめです。
民間金融機関の保証付き融資に申し込む
民間の金融機関で保証付き融資を申し込む方法もあります。
保証付き融資とは、保証協会を挟んで銀行から融資を受ける方法です。
これに対して、銀行から直接借り入れる方法をプロパー融資と言います。
保証協会が間に入ることで、銀行は貸し倒れのリスクが減るため、審査に通過しやすくなるのがメリットです。
同じ理由から、金利もプロパー融資に比べ低くなる傾向にあります。
ただし保証協会への保証料の支払いが発生するため、場合によってはプロパー融資より支出が多くなる可能性もあります。
仕組みとしては制度融資から自治体のサポートが抜けた形になるので、まずは制度融資にチャレンジするのがおすすめです。